* Bettty NOTE *
マンガと書籍の感想、なかなか更新できず…

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2

  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告|
  3. トラックバック(-)|
  4. コメント(-)

「転がる香港に苔は生えない」漂泊の思いやまず

転がる香港に苔は生えない (文春文庫)・「転がる香港に苔は生えない」星野博美
 文春文庫(文藝春秋)2006-10
売り上げランキング : 92654
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る

文庫で600頁超という厚みで買ってから積んでありましたが、読み始めるとまあまあスイスイと。誕生日が近い人はセンスも近くて読み易いんでしょうか。とはいえ自分に彼女ほどの行動力はありませんが。

内容は香港返還前後の空気を伝えるもの。32回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作です。

1個70セントの卵は自分で選んでいいが、60セントのは選べない。安いものは悪いものという剥き出しの資本主義。中国からの密航者も多く家族が香港と中国と離れ離れになっていることも珍しくない。生い立ちも背景もまったく異なる人間がおしあいへしあい常にストレスにさらされるなか、頼るのは金と人脈。濃密な人間関係の裏側にある静粛恐怖症。博打(麻雀と競馬)好き。必要なのは茶餐庁(ちゃーつぁんてん)と、中国人が多くて交通が便利なこと。
細部はともかく、人が流れ込み活況を呈すところというと江戸や少し昔の東京と較べても面白いかもしれません。

英領香港の歴史(アヘン戦争の講和条約からは約百五十年)のなかで、ラストエピソードになる「返還」は香港に住む誰にとっても大き過ぎる出来事です。その歴史の重みや空気丸ごとを一冊で伝えることは不可能でしょう。
ですので、一個人の視点からある街の移り変わりを活写した労作と言うほうが内容に即しているかもしれません。細部に宿るものは読者が見つけてください。

政治の自由はなく経済の自由もそのうち減っていくとありましたが、
返還から十年、今も香港は転がりつづけているんでしょうか。
☆☆☆☆-

タイトルは「片雲の風にさそはれて」と前置きをつければ「奥の細道」。若い頃、誰しも外に出たいという気持ちにはなると思うのですが、そこですぐにエイっと出てしまった人はそのままどこにも根付かずに漂い続けるような気がします。逆にじっくり準備して、地元に親なり知人なり縁を残して出ようとする人は、そう簡単には動けないでしょうし、動いた先でも根を張るように思います。
著者に対しては前者のイメージがあるのですがどうでしょう?
たまらなくあの雑踏の中に戻りたくなるのは、根を張りかけた場所への郷愁なのではないでしょうか。

以下、目次(長いです)


目次

一九九六年八月一九日、香港時間午後一時四〇分

第1章 香港再訪
 彼に何があったか、何も聞いていないのね
 旧友との再会
 中文大学の同窓会
 人民公社は修道院に似ています
 移民したい女
 国民党村・調景嶺の最後
 龍宮城に住む美少年
 世界市民
 チュンキン・マンションの裏に住むシスター
 ホテル・カリフォルニアへようこそ

第2章 深水歩(歩は土偏がある)
 奇妙な住所
 唐楼の窓から見えるもの
 眠らない街・鴨寮街
 清貧の挫折
 四つの名前を持つ女
 香港人の静粛恐怖症
 ひとりぼっちの新年快楽
 人脈という魔法

第3章 返還前夜
 消えゆく植民地は金になる
 香港人はなぜ住所を隠すのか
 移民の街の「新移民」
 誰かの気配
 君と教養に満ちた会話ができないのは本当に残念だ
 食べるナショナリスト
 宝珍の旅立ち
 香港の子とは友達になれない
 俺たちは老けて見られたら終わり

第4章 返還
 俺は家族と一緒に暮らしたいだけなんだ
 そして彼はいなくなった
 植民地最後の夜
 七月一日の夜明け
 あなたはどうやって返還を迎えましたか
 阿強の告白

第5章 逆転
 金の話
 あっけらかんとした密輸
 大陸と香港のはざまで
 香港は日本を崇拝する?

第6章 それぞれの明日
 鶏のない正月
 裏返しの地図
 偽者天国
 シェリーの落ち着かない幸福
 何となく民主的
 たかが博打、されど博打
 密航者という生き方
 不完全な狂気

第7章 香港の卒業試験
 潮時
 私の隣人
 肖連との再開
 君は最初、あの席に座っていた
 再見香港

二〇〇〇年三月一五日、日本時間午前二時二〇分 浅い眠りの中で見る夢は

web拍手 by FC2

  1. 2007/10/11(木) 01:42:59|
  2. books & writing|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:0

  

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://bettty.blog4.fc2.com/tb.php/517-e43d87a0

  

↓Amazon ツン読リスト↓
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。