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本やマンガから雑談に使える話を…

『江戸の気分』落語世界から眺める江戸は…いや、なかなかに刺激的

江戸の気分 (講談社現代新書)江戸の気分 (講談社現代新書)
堀井憲一郎

講談社 2010-08-19
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落語を通して、江戸の気分をリアルに想像してみよう、という新書(まえがき より)。

火事の同時多発性は放火では?とか、武士は今でいう小機関銃と拳銃を持った武装軍人だ、とかもストレスフルな社会を思わせますが、要は今より死に近い生活だったんだな、と。「都市アリ地獄説」(下記)てのもあります。
ゆるい言い方をするなら野生に近いといったところ。アジアだと虫も凄いしね。

現代の仮想社会というか保険社会てのは結局、江戸の反動で、でもちょうどいいところには止まらなくて振り子が振れ過ぎているなぁという感じはします。
江戸への憧れ、てのはつまり振り子を戻したいとかそんなところですかねぇ。
ただ、江戸まで遡るとそんなに住みやすいものでもないのは確かでしょう。


あと、もう一つ。無理に橋を架けなかったことを「軍事上の規制」ではないとするのは、近代以前を考える上で大事なところじゃないかね。

「人もモノもあまり動かないほうが幸せだと、江戸期にはそうおもわれていた」(P.207)
「別のエリアがあれば、どんどんくっつけばいいという考えは、不穏な考えでもあった
、ということです」(P.239-240)
「山があったら、山の向こうとこっちが違う文化、川があったら、それが境界線である、と考えて、ある距離を置いて付き合うのが、「おとなの文化」です」(P.239)

「止まったら死ぬんじゃ」状態では、聞く人は少ないかもしれませんが、現代から江戸を眺めて参考にするとしたら、ここらではないでしょうか。
早く早くと急かされる現代。やがて加速の快感に身を任せたという小説「やがてヒトに与えられた時が満ちて…」(池澤夏樹 →過去記事参照)でも「加速の上限」なぞ考えましたが、今のスピード優先社会、グローバル化とかは自分の首を絞めているように思えます。

身の程を知れ、とは言いますが、身の程を分際、ニッチと言い換えると、進化というのはニッチを越えていくことかとも思います。逆行は難しそうだなぁ。

ま、住んでみれば慣れもあるだろうし、意外と似た感覚かもね。
☆☆☆☆-

【目次】
第一章 病いと戦う馬鹿はいない
第二章 神様はすぐそこにいる
第三章 キツネタヌキにだまされる
第四章 武士は戒厳令下の軍人だ
第五章 火事も娯楽の江戸の街
第六章 火消しは破壊する
第七章 江戸の花見は馬鹿の祭典だ
第八章 蚊帳に守られる夏
第九章 棺桶は急ぎ家へ運び込まれる
第十章 死と隣り合わせの貧乏
第十一章 無尽というお楽しみ会
第十二章 金がなくても生きていける
第十三章 米だけ食べて生きる
附 章 京と大坂と江戸と

「都市アリ地獄説」については以下を参照。
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コンピュータを駆使してこれまで打ち捨てられてきた「宗門改帳」などの人口史料を分析し、人口の観点から歴史を見直そうとするのが歴史人口学。その第一人者である著者の精緻な研究から、近世庶民の家族の姿・暮しぶりがくっきり浮かび上がってきた。例えば、江戸時代の美濃のある村では結婚数年での離婚が多く、出稼ぎから戻らない人も結構いた、十七世紀の諏訪では核家族が増えて人口爆発が起こった、などなど。知られざる刮目の近世像である。(表紙折返しより)

今まで静止画として捉えていた歴史が、アニメーションとして動き出すような衝撃がありました。

無尽講、頼母子講についての余談を以下に。


P.172あたりを引いて、簡単に説明すると、
たとえば十人で集まり、三万円づつ出す。三十万円集まる。
それを一人がもらう。
その会合を十回続ける。毎回、三万円づつ出し、まだもらってない人が三十万円受け取る。
ひととおりいきわたると終了

あまり負担をかけずに、共同体内でまとまったお金を用意するためのシステムだった。
働き手がいきなり怪我をしたり、災害に遭ったりした場合、みんなで金を出し合ってまとまった金を渡す。当事者がだいたい「初回のもらい」になっていて、分割して返済するというシステムである。

江戸はこの「クジ引き平等方式」だが、大阪は「入札せり落とし方式」が多かったらしい。これ初回は親が満額をもらうのは同じだが、二回目以降は参加者が「満額以下で自分の欲しい額」を書いて入札する。入札者の中で、もっとも低い額を書いた人が当たりとなる。そこに書かれている金額を全員で出す。もちろん一度当てると入札権はなくなる。
大阪式だと説明で上に書いた三万円の会でも、三万円より少なめですむ。

まあ会の飲食代は、その回を当てた人持ちであまり儲かるものでもなかったそうで…。
都市部の無尽は「集会としてのお楽しみ」の側面が大きかったらしい。

ちなみに無尽は江戸の言い方で上方では頼母子というのを落語を引いて説明してます。
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  1. 2010/10/03(日) 13:01:38|
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